仕事をリタイヤしてから、たまたまテレビで印章をつくる講座を観てなんか面白そうだなと、そこで紹介されていたカルチャースクールに行ってみました。こつこつ彫るのが性格に合ってたんでしょうかね、先生も呆れるくらいにのめり込んで、三年くらいすると出された課題をただ彫るだけじゃ物足りなくなってきて、勝手に違うものを彫りだしました。

よく篆刻(てんこく)家とかハンコ屋とか呼ばれたりしますが、私がやっていることは伝統的な篆刻ではないし、絵も彫るので、ただのハンコとも版画とも違う“版小画”なんて自分では呼んでいます。西荻手しごと市は、二年前に吉祥寺に住んでいる娘に教えてもらいました。出品の申し込みをしたら屋号が必要だと言われたので、“遊びのハンコ”「遊印屋」と名乗ることにしました。

それまで個展を開いたことはあったけど販売はこの手しごと市が初めてでした。自分で彫ったものが目の前でお金になるのは、金額がどうこうではなく「認めてもらえたかな」という気持ちになれます。

彫りたいものは一杯あるのになかなか追いつかなくて、定年退職したはずなのに時間が足りないくらいです(笑)。他の出展者の作品を見ながら「あ、これ面白い、今度ハンコでやってみよう」って、毎回刺激を受けています。

(2013年 春号)