「戦争のすぐ後は自分で縫わなきゃ身につけるものがなかったんですよ。そうしたらある時知り合いから、それどこで買ったの? 自分で作った? じゃあわたしにも! って言われるようになって」

「ずっと仕事ばかりで他のことなんて何もできませんでした。退職したあと、夏に向けてチューリップハットを作ってみることにしたんです。その程度のきっかけで、まさかこんなに深入りするなんて思っていませんでした」

「十代の頃から髪の毛にコンプレックスがありました。でも市販の帽子は似合わないし高いし。まさか自分で帽子をつくれるなんて思っていなかったんです。部屋の中でも取らなくていい、自分に合うおしゃれな帽子をたくさん作っていきたいですね」

「帽子って最後のおしゃれじゃないかと思うんです。年を取って服があんまりキラキラしてるのって、見ててちょっときついでしょ。それが帽子だと、ちょっと派手めなものをかぶってもあらキレイってなるんですよ。そうすると姿勢もしっかりして、鏡を見て喜んでいらっしゃるのを見るとこちらも嬉しくなります」

「仲間が五人いると作る帽子も個性的で面白いです。生地の選び方から違いますからね」
「でも一番楽しいのは、この手しごと市に一月に一回集まってみんなとおしゃべりすることかもしれないわね(全員爆笑)」

(2013年 夏号)