ナイキのエアマックスを小遣いを二年間貯めて手に入れたのが小学校五年生のときでした。小さい頃から服とか靴とかモノにはこだわる子どもで、高校を卒業して服飾系の専門学校へ。それからパリに留学しました。向こうってすごくいい靴が安く買えるんです。でも、せっかくいい靴なのに手入れの仕方が分からなくて、靴の手入れってどうやればいいんだろうか、そんなことを考えながら日本に帰ってきました。

帰国してから、町の靴磨き屋さんとかで話を聞いてまわり、自分でも友だちの靴を磨かせてもらって、履く人によって汚れ方も傷み方も一つひとつ違うのがわかってきました。だから、ひたすら数をこなすしかなくて、三年くらい経った頃、友だちの紹介でイベントに出展しました。お客さんの靴を磨いたのはそれが初めて。喜んでもらってすごく嬉しかったですね。

それから鞄とか他の草製品の仕事も始めて、やればやるほど、今の大量生産大量消費の流れはいい加減ヤバいんじゃないかつてつくづく思います。靴を磨くときも鞄の手入れをするときも、モノを大事にすることの大切さを感じてほしい、そんな願いを込めてやっています。その“モノを大事にする”お手伝いをするのがぼくの仕事。値段がどうこうより自分に合うモノを大事にするのが一番です。靴を見れば大体その人の癖とか分かりますから、歩き方とか靴の選び方とか、お客さんには具体的なアドバイスをするようにしています。

(2014年 春号)